事業承継のリスクを最小限に止める方法とは?
高齢化が進む日本では、事業承継は今やどの中小企業にとっても大きな課題となっています。また事業承継には様々なリスクがありますが、そのリスクを最小限にとどめるにはどうすれば良いのでしょうか?
今回は、事業承継のリスクを最小限に止める方法について解説していきます。
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そもそも事業承継とは?
事業承継とは、企業を現在経営している代表者が後継者に経営を引き継ぐことです。経営者が築き上げた、事業に関わるすべての経営資源は後継者に継承されます。
近年、経済の基盤である中小企業の重要課題として、経営上の問題がなくても後継者がいないために廃業を検討するケースの増加が挙げられています。培われてきた技術やノウハウの消失を避けるためには、事業承継を実現して確実に次の世代に引き継いでいかなければなりません。
経営者の交代率は長期にわたって減っており、これは経営者が長く交代していないことを表しています。つまり、経営者の高齢化が進んでいるため、中小企業庁は今後事業承継の必要性が高まっていくと予想しています。事業承継には期限がないので、早期に準備を始めて進めていくことが重要になってきます。
事業承継のリスクを最小限に止める方法について
ここからは、事業承継のリスクを最小限に止める方法をご紹介します。
国や商工会による後継者育成サポートを受ける
国の中小企業基盤整備機構や、各都道府県や市町村には商工会議所というものがあり、後継者問題に悩む中小企業のための「事業引継ぎ相談窓口」を設置しています。特に事業引継ぎ支援の需要が多い全国20箇所に「事業引継ぎ支援センター」が設置され、後継者を求めている企業とその事業をやってみたいという人とのマッチングや、専門家による具体的な支援が行われています。
アドバイザー・コンサルティング会社に相談する
いざ事業承継をしようと思い立っても、初めて事業承継に取り組む方はそもそもどこに相談すればよいか迷ってしまうことでしょう。特に、M&Aによる事業承継では、企業を引き継いでくれる第三者を探す必要があります。M&Aの業務委託先には「仲介型」と「FA(フィナンシャル・アドバイザー)」の2種類があり、それぞれ事業承継における交渉形態が異なります。信頼できる相談先を選ぶ際に、それぞれのサービス内容を知り、どちらの手法が自分の会社に合っているかによって最適なアドバイザーを選びましょう。
- 仲介型による事業承継
- ファイナンシャル・アドバイザーによる事業承継
仲介会社が売り手と買い手の間に入り、中立的な立場でM&Aの成立を目指します。譲渡・譲受価格や規模、業種など双方の要望を考慮し、売り手と買い手をマッチングさせ、条件の調整・交渉を行います。
売り手と買い手それぞれにアドバイザーが専属でつきます。M&A仲介会社が売り手と買い手双方の利益・条件のバランスを重視しているのに対して、FAは売り手または買い手の利益が最大になることを目指して交渉を進めます。
弁護士や行政書士などの士業に相談
法律や契約の専門家である士業も、事業承継問題の相談先のひとつです。たとえば、弁護士であれば相続や遺言状などの法的な問題、行政書士であれば専門的な書類や契約書の作成などをサポートしてくれます。ただし、弁護士などの士業に関しては、すべての事務所がM&Aの専門家であるとは限りません。専門分野では大きな力になってくれますが、場合によってはM&Aの特定の工程しかサポートを受けられないこともあることは注意しておきましょう。
株式譲渡の相続税や贈与税の猶予を受ける
後継者となった方は、前経営者の死亡によって株式を相続した場合に相続税の支払い義務が発生します。また、経営者が生きているうちに株式を譲り受けた場合でも、贈与税を支払いが発生してしまいます。
これらはかなりの負担になりますので、上場していない中小企業の株式については、納税猶予の特例が設けられています。贈与税については後継者が旧経営者の親族でなくてもよいことになっていますので、以下などの条件を満たすことで、納税の猶予を受けることを検討してみましょう。
- 事業承継後5年間にわたり平均で承継前の80%の雇用を維持すること
- 事業承継と同時に旧経営者が「代表」を退くこと
- 経済産業大臣の「認定」を受けること
まとめ
多くの中小企業では、「後継者が見つからない」「事業承継のやり方が分からない」といった理由から事業承継が進まないという課題を抱えています。蓄積された企業のノウハウを無駄にしないためにも、親族内承継、社内承継、M&Aによる事業承継といった複数の承継方法を検討するとよいでしょう。
すでに検討している段階であれば、早めに行動することが重要となります。その際には、事業承継先や希望条件に関して最適なアドバイスがもらえる相談先を選びましょう。
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