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雇用契約書とは?必要な記載事項や作成する際の注意点を解説


従業員を採用する際に用意するものの1つに「雇用契約書」があります。雇用契約書は法律上交付を義務付けられてはいません。だからといって交付しなくてもいいのでしょうか?雇用契約書がないことで問題になっているケースもあることは確かです。

そこで今回は、「雇用契約書」はどんなものか、必要な記載事項や作成する際の注意点などについて解説していきます。

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そもそも雇用契約とは?

雇用契約とは、雇用主(企業/経営者)と雇用される労働者の間で結ぶ契約のことです。労働者が、従業員として会社に労務を提供することを約束すると同時に、雇用主がその労働に対する賃金を支払うことを約束する契約です。

雇用契約書とは?

雇用契約書とは、雇用主と労働者の間で交わされる雇用契約の締結を行う書類です。会社が人を雇用する事は、会社と個人の間で雇用契約を結ぶことを意味します。

雇用契約に限らず「契約」は口頭だけでも成立しますが、契約の証拠が残らずトラブルが起こる可能性があるため、雇用主(会社側)と雇用される人(働く側)の労働条件の合意を証明するために雇用契約書を交付します。

労働条件通知書との違いについて

雇用契約書と労働条件通知書は、2つとも「労働条件を従業員本人に明示する書類」です。雇用主は従業員を雇用したら「労働条件を従業員本人に明示する義務」があるのですが、以下のように雇用契約書と労働条件通知書は使い分けます。

労働条件通知書

労働条件通知書は、名前の通り「通知」なので会社の意向を伝えるだけの書類です。労働条件通知書の交付が「労働条件の明示する義務を果たしている」とみなされるため、必ず交付が必要です。労働条件通知書を交付しなかった場合は、労働基準法第15条で「雇用主に30万円の罰金」と定められています。

雇用契約書

雇用契約書は、会社の意向だけでなく「労働条件通知」と「合意」を兼ねています。雇用契約書そのものは、一般的な契約書と同じ位置付けであり、雇用契約において交付義務はありません。労働条件通知書を交付していれば「労働条件を従業員本人に明示する義務」はクリアしているので、雇用契約書がなくても良いとされています。

労働条件を従業員本人に明示する義務

雇用契約書も労働条件通知書もなく、労働条件の説明をしていない状態は違法になるので注意しましょう。

労働条件の明示だけなら「従業員本人の希望」と「紙に印刷できるデータであること」を条件に、FAXや電子メール、SNS等でも認められています。雇用契約書は「署名・契約締結」が発生するため、電子データ化するには法的要件を満たした電子契約システムや労務管理システムが必要です。

(参考)「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ

雇用契約書・労働条件通知書の明示事項

雇用契約書 兼 労働条件通知書には必ず明示する絶対的明示事項と、企業ルールに沿って明示する相対的明示事項があります。2つの記載事項が記載されている場合、雇用契約書・労働条件通知書の様式は問われません。

絶対的明示事項と相対的明示事項の内容は以下となります。

絶対的明示事項

労働契約期間

契約期間のない正社員の場合は「なし」と記載し、契約期間を設ける場合はその期間を記載

就業場所

実際に勤務する場所を記載
※勤務地が変わる予定がある場合は、雇い入れ直後の勤務地を記載

業務内容

実際に従事する業務内容を記載
※従事する業務内容が幅広い場合、複数記載しても問題なし

始業時刻と終業時刻

始業・終業時刻が定まっている場合は、その時間を記載
※シフト制など勤務時間帯が決まっていない場合、ルールを記載しても問題なし

所定労働時間を超える労働の有無

残業の有無を記載

休憩時間

所定労働時間に対する具体的な休憩時間を記載
※労働基準法では、所定労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分の、所定労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩が必要と定めています

交替制勤務

労働者に交替制勤務が発生する場合、交替順序あるいは交替期日を記載

休日・休暇

就業規則に従って休日を記載
※労働基準法では、1週間に1日以上、4週間に4日以上休日を与えることと規定
毎週決まった曜日である必要はなく、シフト制の休日でも可能。休暇は、年次有給休暇、育児・介護休暇、その他会社で定める休暇などを記載

賃金計算方法・支払日

月給や日給、時給などの計算方法を記載
※賃金の支払方法や社会保険料や税金、控除についても記載

退職

定年退職の年齢や、雇用継続制度の有無、自己都合退職の場合に何日前の連絡が必要か、解雇になる事由など、退職手続きに関する内容を記載

昇給

昇給がある場合に記載

相対的明示事項

退職手当

退職手当制度がある場合、支払日と計算方法を記載

臨時の賃金・賞与

業績によって支払われる報奨金、およびボーナスの支払日と計算方法を記載

食費や作業用品(労働者の負担分)

社内食堂がある場合、労働者が負担する食費や、制服の購入費用が発生する旨を記載

安全衛生

健康診断の時期や、喫煙所の場所、災害補償に関する内容などを記載

職業訓練

職業訓練の受講など、会社規定がある場合は記載

災害補償・業務外の疾病扶助

労働者が勤務中にけが・病気になった場合の会社の補償制度を記載

表彰・制裁

表彰制度や制裁制度がある場合は記載

休職

産前産後休暇・育児休業など法定休職制度以外で、独自の休職制度がある場合は記載

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雇用契約書作成にあたっての注意点

契約書は、一般的に当事者双方が各1通保持するのが通常ですが、これについては特に決まりがあるわけではありません。雇用契約書においても、「必ず2通用意しなければならない」「従業員に原本や写しを交付するべき」などといったルールはありません。しかし、トラブル防止の観点から言えば、2通作成して企業側と従業員が各1通保持する方が望ましいでしょう。

また、多くの企業には、正社員以外にも契約社員、パート・アルバイトと、様々な雇用形態が存在しています。そのため、雇用契約書を交わすのであれば、個々の雇用形態に合わせて作成する必要があります。

ここでは、従業員の雇用形態に合わせて雇用契約書を作成する場合の注意点をご紹介します。

正社員と交わす雇用契約書の場合

正社員は、アルバイトやパートのような契約期間の定めがないため、雇用契約書を見直すことはないと思いがちです。しかし、多様な働き方が存在する現代においては、あらゆる可能性を考慮した様式になっているかはチェックしておくとよいでしょう。例えば、転勤、人事異動や業務内容の変更の可能性、給与、残業の有無などの項目は順当か、確認しておきましょう。

よくあるトラブルには、「求人票の記載事項と雇用条件の違い」が挙げられます。求人票にはあくまで目安を記載している場合が多いことから、企業側と従業員との認識のズレが起きやすく、トラブルへと発展しやすくなります。労働条件通知書には正しい労働条件を明示する必要がありますが、こうした認識のズレを回避するためには、雇用契約書で双方の合意を取っておくことも必要になります。さらに雇用契約書には、試用期間の有無、適用される労働時間制、休日、休暇などの設定についても明示しておくとベストです。特に試用期間の有無については、その期間(いつからいつまで)、試用期間中の賃金、正式採用しない可能性についても記載しておくとよいでしょう。

パート・アルバイトと交わす雇用契約書の場合

パート・アルバイト(短時間就労者)とは、「1週間の所定労働時間が正規雇用者の3/4以上、かつ1ヶ月の所定労働日数が正規雇用者の3/4以上となる、所定労働時間が短い労働者」のことを指します。パートやアルバイトに対しても、絶対的明示事項、相対的明示事項といった労働条件の明示が義務づけられています。特に契約期間については、契約更新の有無や条件についても明示することを忘れないようにしましょう。

加えて、パートタイム労働法第6条により、以下の内容も書面化する必要があります。違反した場合は10万円以下の罰金が科されることになるので注意しましょう。

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 短時間就労者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

契約社員と交わす雇用契約書の場合

契約社員は、契約期間の定めがあるため、契約期間満了日、更新の有無、更新の判断などの絶対的明示事項は詳しく明記する必要があります。また、契約更新の際も、再度契約を結び直すことになるため、契約期間の満了後には改めて労働条件を明示しなければいけません。有期雇用契約の場合、更新を「自動更新」にしていると事実上「定めのない契約」とみなされる場合があり、雇い止め時に無期雇用契約に準じた手続きが必要など、有期雇用契約のメリットが阻まれる可能性もあります。特に、現在は有期労働契約が通算5年を超えた場合、本人の申込みにより、無期雇用契約に転換できます。この場合、使用者となる企業は断ることが出来なくなるため、雇用契約書における契約の更新については慎重に対応しましょう。

また、有期労働契約が3回以上更新、または1年を超えて継続雇用している従業員に対して契約更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければいけません。(あらかじめ当該契約を更新しない旨を明示している人は除きます)さらに、従業員から証明書を請求された場合は、契約期間の満了とは別の理由とする必要があります。

雇用契約書のポイントについて

雇用契約書には押印(署名)が必須

雇用契約書は2部作成し、両者の押印(署名)をした上で、会社と従業員それぞれが各1部づつ保管します。雇用契約書を2部作成・押印するのは、合意の証明と改ざんを防ぐのが目的です。

保存期間

雇用契約書は、従業員が在職中は破棄できず、従業員が退職してからも「最低5年間の保存」が必須です。雇用契約書は、労働基準法109条の「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。

労働関係に関する重要な書類の保存期間は、2020年4月1日の労働基準法の改正施行よって3年間から「退職から5年間」に変更されています。また、退職金請求権や賃金請求権も「未払いが発生した日から5年間分をさかのぼって請求できる」となっているので、破損や劣化に気を付けて保存しましょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか?今回は、「雇用契約書」はどんなものか、必要な記載事項や作成する際の注意点などについて解説しました。

雇用契約書は、一方的な通知になってしまう労働条件通知書よりも「合意」があるため、信頼した雇用関係を構築できます。雇用契約書と労働条件通知書を雇用形態や期間など自社で基準を設けて使い分ける事もできますが、業務が煩雑になるため統一したほうが良いでしょう。

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