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企業間の『手形』決済が減少している理由とは?


一昔前は、企業の間の決済手段として、手形が利用されてきましたが、現在はピーク時の1割以下で、利用が減少してきております。

今回は、企業間の『手形』決済が減少している理由について解説していきます。

手形とは?

手形とは、将来の一定期日に一定の場所で、一定の金額を支払うことを記載した証券のことをいいます。手形は、決済の手段として商品代金や掛け代金の支払いのため、現金の代わりに用いられることがあります。

そして手形には「約束手形」「為替手形」の2種類があります。

約束手形

専用の用紙に自分の名前と金額などの項目を記載して取引の相手方に渡す行為を「振出」と言いますが、振出人(約束手形を作成した人)が受取人(受け取った人・名宛人ともいいます)に対して一定の期日に支払うことを約束する手形です。

約束手形を振り出す人は、後日手形代金を支払う義務が生じ、勘定科目では「支払手形」で処理をします。一方、約束手形を受け取った人は、後日手形代金を受け取る権利が生じ、勘定科目では「受取手形」で処理をします。

為替手形

振出人が支払人(第三者)に対して、手形の受取人に一定の金額を支払うことを依頼する手形です。実務上は、ほとんど使われていません。

手形の歴史について

そもそも手形が広く一般に利用されるようになったのは、戦後のことです。明治12年に大阪手形交換所が最初に開設され、手形や小切手の流通増につれて全国各地に手形交換所が開設されました。当時は、銀行にも全然現金がなかったので、今とは比較にならないほど金利が高かったです。一方で、製造業などは部品などを仕入れて、完成品ができ上がるまでに何か月もかかります。その完成品を販売して現金が手元に入ってくるまでにはさらに時間がかかるので、なるべく支払いを先延ばしにしたいが、金利が高いので銀行から借り入れて支払おうものなら、コスト高になってしまうという理由で手形が多用されるようになったのです。

金融機関を介さない、事業者間金融を発達させることで、コストを抑えることに成功しました。手形というのは現金と同様の価値があるので、親事業者から受け取った手形を下請事業者が孫請事業者に対する支払いにも利用することができます。こうして、さまざまな業界で手形決済が一般化していったという歴史があります

但し、現在は急激に減少しています。ピーク時(1990年頃)を境に1割以下に減少しており、交換所も減り続けています。大企業が率先して手形印紙税や管理にかかる人件費などのコスト削減に取り組み、現金決済の広がりが中小企業にも波及したことが要因となっています。

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手形はなぜ減少したのか?

前述でも解説しましたが、コスト削減に取り組み、銀行振り込みなどによる現金決済の広がりが中小企業にも波及した事により、手形の利用が減少してきました。

利用のための手続きが面倒

手形を発行したい企業は、まず取引銀行で手形決済用の当座預金口座を開設する必要があります。当座預金口座は普通預金とは違い誰でも開設できるものではありません。銀行によって経営状態や取引履歴などを審査され、承認された場合のみ開設できます。口座開設後に手形がつづられた手形帳を発行してもらって初めて、手形を振り出すことが可能になります。手形の書き方は手形法によって細かく決まりがあり、間違うと無効になってしまいます。

一方で手形を受け取った企業は、手形の「支払呈示期間」になったら銀行に持ち込み、「取り立て依頼」をすることで現金を受け取ることができます。「支払呈示期間」は、手形券面に記載された支払期日から3日間です。期間を過ぎると手形の法的な効力が失われ、通常の取立手続きでは回収できなくなってしまいます。このように振り出す側にとっても受け取る側にとっても、手形による取引は非常に手間が多く、企業が手形を避ける原因になっています。

手形を現金化するまでに時間がかかる

手形を受け取った企業は、支払期日が到来するまで現金を受け取ることができません。支払期日は振り出した日の数ヶ月後に設定される場合が多いので、受け取る側にとっては代金がなかなか手に入らず、資金繰り悪化の原因になってしまいます。金融機関に手形を買い取ってもらう「手形割引」によって期日前に現金化することもできますが、銀行に手数料を支払う必要があります。

手形利用にはコストがかかる

銀行から手形帳の発行をしてもらうには、2,000円程度の発行手数料がかかります。また、手形を振り出す際には収入印紙を貼らなければいけません。これは印紙税法で決められたものなので、貼らなければ脱税になります。印紙の額は手形金額によって異なりますが最大20万円と、銀行の振込手数料よりも高額です。

不渡りのペナルティがある

不渡りとは、手形の支払期日を過ぎても資金が決済されないことをいいます。具体的には、振り出した側の当座預金口座から現金を引き落とそうとした際に口座残高が足りない場合、資金を決済できず不渡りとなります。不渡りを出した企業は手形交換所によって「不渡り報告」に掲載され、すべての金融機関に不渡りの事実が報告されます。さらに1回目の不渡りから6ヶ月以内に2回目の不渡りを出すと、2年間金融機関と融資や当座預金の取引ができないというペナルティを課されます。これは事実上の倒産であり、非常に重い処分です。現金決済であれば、もし支払いに遅れが生じたとしても当事者間で解決することができます。

公正取引委員会からの要請

2016年、公正取引委員会は下請法強化の取組として、全国の企業に対して下請代金をできるだけ現金で支払うように要請しました。これは、下請け業者が手形支払までの期間を長く設定されるなど、不利な条件での取引を余儀無くされる事態を避けるための対策です。この要請により、元請け会社と下請け会社との取引で手形が使われなくなっています。

手形と小切手の大きな違い

手形と似たような仕組みで小切手というものもあります。小切手とは、一定の金額の支払いを約束する有価証券です。小切手を受け取ると、受取人は代表者や振出日等を確認して銀行(支払人)に提示します。銀行は、振出人名や金額を確認し、振出人の当座預金口座から現金を支払います。小切手を使用すれば、多額の現金を持ち運ぶ必要がなく、盗難や紛失の心配がなく、入出金の事務負担が軽減することから広く用いられています。小切手を振り出すためには、事前に銀行に当座預金口座を開設して審査を受ける必要があります。専用の小切手帳もその銀行から購入します。そして、その銀行に当座預金にお金を預けておいて、支払先に支払金額を書いた小切手を渡すと、小切手と引き換えに銀行が現金を支払ってくれます。

手形と小切手は、用紙に金額、日付等の必要事項を記入し相手に渡し、支払いをするという点では共通していますが、小切手は、受取った人がすぐにそれを現金化することができるのに対し、手形の場合は原則として支払期日にならないと現金化することができないという点で異なります。手形は支払期日をかなり先に設定することができ、記載する金額が大きいという特徴があります。

まとめ


いかがでしたでしょうか?今回は、企業間の『手形』決済が減少している理由について解説してきましたが、近年では銀行振込の他にも、電子決済など技術の進歩によって多様な支払い手段が生まれていますので、決済手段として一定の役割が終えたといえます。

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